りずみんの健康管理コラム
RIZUMIN’S COLUMN

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そのダイエット本当に必要?~女性のやせ問題~
今年は梅雨明け前から連日の猛暑日が予想されており、暑さが厳しい夏になりそうですね。 これからの時期、海やプールで水着になったり、服装が軽装になったりするため、ダイエットを始めるという方も多いのではないでしょうか。しかし、そのダイエットが本当に必要なのか一度考えてみませんか?
今回は、やせすぎにより起こる様々な健康障害やリスクについて解説します。

やせとは
体重が減少し、BMIが18.5未満になっている状態のことです。
BMIとは、肥満ややせなどの体格を表す指数のことで、身長と体重を用いて計算することができます。
【BMI=体重(kg)÷身長(m) 2】
<判定基準>
18.5未満・・・やせ
18.5~25・・・普通
25以上・・・・肥満
例えば、20代女性の平均身長は約157cmですが、この身長で45.6kg以下の体重の場合は、やせに分類されます。
ある調査によると、男性は年齢と共に体重が増加しやすい傾向にありますが、女性は特に20代でBMIが低く、20代女性の5人に1人がやせということが分かっています。日本は先進国の中でもやせの割合が最も高く、日本肥満学会は若い女性の過度な「やせ願望」に警鐘を鳴らしています。
そして、若い女性の間でダイエット用語として用いられているのが『シンデレラ体重』です。シンデレラ体重とは、BMIが18になるように計算された体重のことで、モデルなどに多い体重の値です。このような体重の人は一見スタイルが良く見え、若い女性は憧れを抱きがちですが、健康障害のリスクがあるため注意が必要です。

やせによるリスク
貧血
体重を減らす時、多くの方が食事制限を行い、体重を減少させようとします。しかし、食事制限を行うと、体に必要な栄養素が不足してしまいます。
その中でも、特に不足しやすい栄養素の一つが「鉄」です。鉄は、赤血球の生成や酸素の運搬を行う際に必要な栄養素であり、不足すると貧血を起こし、体が疲れやすくなったり、ふらついたりするなど様々な症状を起こします。また、鉄の吸収を高めてくれる「ビタミンC」や「タンパク質」の摂取量も少なくなるため、さらに貧血に陥りやすくなります。

摂食障害
最初はダイエット目的で始めた食事制限が、どんどんとエスカレートしていくことで、神経性食欲不振症(拒食症)や過食症などの摂食障害になるケースがあります。
拒食症は、痩せているにも関わらず、まだ太っていると思い込み、食べることを拒否したり、過度な運動をしたりして、どんどん痩せていってしまう病気です。体重減少によって、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
過食症は、むちゃ食いやドカ食いなどの過食を繰り返し、体重が増えることを恐れて、嘔吐や下剤の乱用などを繰り返す病気です。10代後半の女性に多いと言われており、心身共にケアを行っていく必要があります。
妊娠や子どもへの影響
過度な食事制限によって、栄養状態が悪くなることで、月経が不定期になったり、来なくなってしまったりします。このような状態が長期的に続くと、将来の妊娠・出産に悪影響を及ぼす可能性があります。
近年、早産や発育不全に伴う低出生体重児が増加しており、これには女性のやせが関係していると言われています。また、低体重で生まれてきた赤ちゃんは、高血圧や生活習慣病のリスクが高いこともわかっています。
糖尿病
糖尿病のリスクが高いのは肥満の人だけと思われがちですが、実はやせの人もリスクが高いことがわかっています。やせの人は、食後高血糖となる耐糖能異常(食後の血糖値が正常値と異常値の間の状態)の割合が高いことや、食後血糖値を下げる働きのあるインスリンというホルモンの働きが悪いことが分かっています。また、筋肉にはブドウ糖を貯蔵しておく機能があるため、筋肉量が少ないと、血液中のブドウ糖が増えてしまい、糖尿病を引き起こす原因となります。
骨粗しょう症
骨粗しょう症は、更年期以降の女性や高齢者で多く発症しやすい病気です。骨密度は20歳前後で一番高くなりますが、若いうちからダイエットをすることで、骨の形成に必要となるカルシウムやタンパク質、ビタミンDなどの栄養素が不足し、骨密度が低下してしまいます。さらに、骨は負荷がかかることで強くなる性質があるため、体重が少ないと骨にかかる負荷が減り、骨がもろくなって、将来的な骨粗しょう症のリスクを高めます。
また、やせは卵巣の働きを低下させ、女性ホルモンであるエストロゲンを減少させます。エストロゲンは、骨を壊す働きのある破骨細胞に働きを抑えて、骨形成を促進させる働きがあるため、不足すると骨量が低下してしまいます。脂肪細胞から作り出されるレプチンというホルモンもエストロゲンの分泌に影響するため、脂肪が減りすぎるとエストロゲンの分泌に異常が起こることもわかっています。

改善するためには
健康的な体格を知る
健康的に過ごすため一番よいのがBMI22前後の体形で、痩せすぎも太りすぎもよくありません。
このBMI指数22を使用して算出できる標準体重の計算方法をご紹介します。
<標準体重の計算式>
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
例えば、20代女性の平均身長である157㎝の人の標準体重を計算してみます。
1.57(m)×1.57(m)×22=54.22(kg)
157㎝の人はこの標準体重の維持を目安として、食事や運動を調節していくとよいでしょう。
一日3食食べる
一日に1~2食しか食べない人は、必要な栄養素や摂取エネルギーが不足してしまいます。毎食、主食・主菜・副菜を揃えてバランスの良い食事を意識しましょう。今まで3食食べる習慣がない人は、軽食や栄養バーなどを取り入れながら、徐々に3食へと移行していくのがオススメです。

運動
やせの女性の中には、食事だけを抜いて、運動はしないという方もいます。しかし、体を動かさないとお腹が空かず、筋肉量も減ってしまいます。いきなりハードな運動を始めるのは大変ですが、気軽にできるウォーキングやスクワットなどの軽い筋トレから始めてみましょう。また、ヨガやピラティスなど運動系の習い事で、日常的に体を動かす機会を作るのもよいですね。
いかがでしたか?
過度なダイエットは、さまざまな健康リスクを高めます。自分の適正体重を知り、健康的な体型を維持していきたいですね。
健康管理能力検定3級では、バランスの良い食事やウォーキング方法について、2級では女性ホルモンや食事のリズムについても学んでいただけます。

著者: 健康管理能力検定 監修: 日本成人病予防協会