りずみんの健康管理コラム

RIZUMIN’S COLUMN
りずみんの健康管理コラム りずみんの健康管理コラム
2025.12.16
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  • #冬の健康管理

突然やってくる”ピキッ”の正体 ~3大ぎっくりに要注意~

冬になると増えてくるのが、突然の”ピキッ”とした痛み。急に冷え込むこの季節は、いま話題の「3大ぎっくり」に要注意です。ぎっくり症状というと中高年のイメージが強いかもしれませんが、近年では若い世代でも発症が増えています。

今回は、冬にぎっくり症状が増える理由と今日から取り入れられる予防法をお伝えいたします。

冬はぎっくりのハイシーズン

気温が体に与える影響

夏は体の熱を外に逃がそうと血管が拡張するため、血流が良くなります。その結果、筋肉が緩みやすく関節もスムーズに動ける状態になります。一方、冬は体温を逃がさないように筋肉や血管が収縮し、夏よりも血流が悪くなります。その結果、筋肉に疲労物質が溜まりやすくなったり、寒さや疲労で筋肉が硬直したりして、筋肉や関節の可動域も狭くなりがちです。
さらに、近年は「秋を感じる間もなく夏から冬に入る」といわれるほど寒暖差が激しい”二季化”が進んでいます。体が気温変化に順応する前に一気に冷えるため、筋肉のこわばりや疲労がより強まりやすくなっています。そんな状態の時に、急な動きによって筋肉に大きな負荷がかかると「ぎっくり症状」が引き起こされてしまいます。

3大ぎっくりとは

・ぎっくり腰
前かがみ・くしゃみ・荷物を持ち上げるなど日常のちょっとした動作が引き金となり、突然腰に激痛が走り動けなくなる状態です。主に腰回りの筋肉に急激な負担がかかることで起こります。

・ぎっくり背中
肩甲骨周りや背中の筋肉が急にけいれんを起こし、呼吸をするだけで痛むこともあります。姿勢不良が続く人や冷え・ストレスで筋肉が固くなっている人に起こりやすくなります。

・ぎっくり膝
膝の内側や裏側に急激な痛みが走り、体重をかけづらくなるのが特徴です。階段の上り下りやしゃがむ動作などで起こりやすく、膝を支える筋肉や腱が十分に伸縮できない状態になっていることが主な要因です。

若い世代にも広がるぎっくり予備軍

かつては中高年世代に多い症状と考えられていましたが、現在は20~40代にも増加傾向にあります。背景には、生活スタイルの変化による「動かない時間の増加」が大きく関係しています。

デスクワーク・テレワークの増加

コロナ禍以降、通勤や移動が減り自宅で過ごす時間が増えました。1日の大半を座ったまま過ごす人が急増し、基本的な活動量が大幅に減少しています。

スマホ姿勢

SNS・動画視聴・オンラインサービスなどの普及により、1日数時間同じ姿勢のまま過ごすことが当たり前になっています。特にスマホ姿勢は首・背中・腰の筋肉をほとんど使わないため、体幹の弱化を招きます。

動かない時間が増え、長時間座る生活が続くと骨盤や背骨まわりの筋肉が十分に使われず、体のバランスが乱れ姿勢の崩れにつながります。また、動かない時間が長いほど血流が悪くなり、筋肉が固まりやすくなります。その結果、ぎっくり症状を誘発させるリスクが高まります。便利で快適な生活の裏側で、意識をしないと体を動かさなくなっているのが現代人の特徴です。

もしぎっくり症状が出てしまったら

ぎっくり症状が出たときは、無理に動かず安静にし、患部を冷やして炎症を抑えましょう。痛みが少し落ち着いてきたら温めて血流を促し、楽な姿勢で休むと負担が和らぎます。

以下の場合は医療機関への受診を検討してください。
・痛みが強くて動けない
・膝のしびれ・力が入りにくい
・数日たっても改善しない
・初めての症状で不安がある

今日から取り入れよう!ぎっくり予防法!

ぎっくり症状は突然起こるように見えますが、実は日頃の習慣を少し整えるだけで予防できます。今日から取り入れられる簡単な予防法をご紹介いたします。

運動

体幹には大きな筋肉が集まっているため、鍛えることで全身の安定性が高まります。大きな筋肉は疲労が溜まりにくく、運動の効果も出やすいため、まずは体幹を優先して強化しましょう。
今回は、脊柱起立筋(背中の脊柱という部分の両側についている大きな筋肉)を鍛える運動をご紹介いたします。

<脊柱起立筋を鍛える運動 ~アームレッグレイズ~>
 ①四つん這いの状態から背中はまっすぐにしたまま、対角線にある手と足を上げる
 ②手足の高さは床と平行が理想
 ③10秒キープ。左右5回ずつ

食事

冬は体が冷えやすいため「血流を促す食材」「体を温める食材」を意識すると効果的です。血流が保たれると酸素や栄養素が筋肉までしっかり届き、疲労の蓄積や突発的な痛みの予防にもつながります。

・血流を促す食材:玉ねぎ、ニンニク、ネギ
これらの食材に含まれるアリシンは、血管を拡張し、血液の巡りをよくする働きがあります。また、筋肉の疲労を回復させるビタミンB₁の吸収を高める働きもあります。

・体を温める食材:生姜
生姜に含まれるジンゲロールという辛味成分には、血行を促進し、体を温める働きがあります。さらに、生姜を加熱したり乾燥させたりすると、ジンゲロールはショウガオールという成分に変化します。ショウガオールには胃腸を刺激し内臓の働きを高める作用があり、体の内側から温まりやすく、冷え性の改善に役立ちます。

いかがでしたでしょうか。
ぎっくり症状は年代問わず起こりうるため、日頃のケアがとても重要です。特に年末年始は家で過ごす時間が増える分、運動不足になりがちです。この機会に、ご紹介した予防法を無理なく続けられる範囲で取り入れ、快適な冬をお過ごしください。

健康管理能力検定3級では筋力トレーニングについて、2級では冬の食養生、栄養素の働きについても学んでいただけます。

著者: 健康管理能力検定 監修: 日本成人病予防協会